「死が二人をわかつまで」ジョン・ディクスン・カー | カラクリリリカル

「死が二人をわかつまで」ジョン・ディクスン・カー

有栖川有栖さんの「46番目の密室」の作中で、
「カーの『ユダの窓』は史上最上の密室トリック」という記述
(正しくは作中に登場する『ロックド・ルーム・マーダーズ』の引用ですが)
が気になって、近所の書店に行ったところ、カーの作品はこの一冊しか置いていなかったのでとりあえず購入しました。



ジョン・ディクスン・カー, 仁賀 克雄
死が二人をわかつまで

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劇作家ディックは幸せの絶頂から不幸のどん底へと叩き落された。
婚約者を毒殺魔だと言った占い師が、銃弾に倒れたのだ。
撃ったのはその婚約者。そして起きる密室殺人事件。
婚約者への愛と疑惑。彼女は殺人犯なのか!?
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表紙から、ゴシック系のものを想像していたのですが、
この作品は「古き良きイギリスの小さな村で起こる殺人事件」。

密室の巨匠ということでかなり期待して読み始めたのですが

肩透かしされてしまいました。

と、いうのも、

かなり魅力的な謎の真相がストーリー前半で明かされてしまい

残された謎は然程魅力的では無いのです。


また、探偵役であるフェル博士の魅力が全く伝わってこないのがツライです。キャラクター描写も無ければ、「格好良い!」となる論理展開シーンも無い…


まだこのシリーズは一冊目なので何冊か読めば違ってくるのでしょうか?

最初に読むには不向きなものを選んでしまったのか、それともこういう作風の作家さんなのか気になるところです。


主人公であるディックが、婚約者への疑惑に揺れる心理描写も

いまいちキャラクター描写が弱く感情移入がし難いせいか

スリリングさに欠けました。


トリックに関しては斬新なものではありませんが
密室での毒殺という組み合わせで巧くまとめていると思います。


悪くは無いけれど、全般的に平凡。

同じ「古き良きイギリスの小さな村で起こる殺人事件」なら

アガサクリスティの方が面白いな、と思ってしまいました。

同じ構成でも、ポワロとヘイスティングズが探偵役ならニコニコして読んでしまったでしょうw

この本を購入した際に、名作と名高い「ユダの窓」と「三つの棺」
の2冊を注文して参りました。

とりあえず、その2冊を読んでから、私がカーを読むのに向いているか向いていないのか判断したいと思っていますw