カラクリリリカル -47ページ目

か行

あ行

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蒼井上鷹
 
九杯目には早すぎる

我孫子武丸
 
殺戮にいたる病

有栖川有栖 
 
月光ゲーム―Yの悲劇’88

 「孤島パズル

 「マジックミラー
 「まほろ市の殺人 冬―蜃気楼に手を振る

天樹征丸
 
金田一少年の事件簿〈3〉電脳山荘殺人事件
 「金田一少年の事件簿―鬼火島殺人事件


綾辻行人
 「緋色の囁き
 「迷路館の殺人
 「人形館の殺人

 「時計館の殺人

鮎川哲也
 「太鼓叩きはなぜ笑う

アンソロジー
 「あなたが名探偵

 「七つの黒い夢 」(乙一, 恩田陸, 北村薫, 誉田哲也, 西澤保彦, 桜坂洋, 岩井志麻子)

石持 浅海
 扉は閉ざされたまま

 「セリヌンティウスの舟

恩田陸
 
象と耳鳴り

「月光ゲーム―Yの悲劇’88」 有栖川 有栖

大好きな「ミス研」モノ。
EMC──英都大学推理小説研究会の有栖川有栖と、
先輩の江神二郎が活躍する
「学生アリス」三部作の一作目であり、著者のデビュー作です。



著者: 有栖川 有栖
タイトル: 月光ゲーム―Yの悲劇’88


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夏合宿のために矢吹山のキャンプ場へやってきた英都大学推理小説研究会の面々を、予想だにしない事態が待ち構えていた。山が噴火し、偶然一緒になった三グループの学生たちは、陸の孤島と化したキャンプ場に閉じ込められてしまったのだ。その極限状況の中、まるで月の魔力に誘われたように出没する殺人鬼!
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クローズドサークルにおける連続殺人、というだけでなく
この作品では更に、舞台が噴火する火山!

クローズドサークルの恐怖に加えて、大自然の恐怖という極限状況が非常にスリリングな作品です。


特に噴火から逃げ惑うシーンから始まる、
時系列が前後したプロローグが秀逸。
最後の一行で物語に一気に引き込まれました。



ダイイングメッセージ、読者への挑戦状というミステリファンなら誰しも胸がときめく趣向も魅力です。


肝心の犯人当てですが、登場人物が非常に多いので、
推理するのがちょっと困難。

と、いうか読んでいて誰が誰だかわからなくなってしまい
カバーの登場人物一覧を見直すこと数回・・・
(私の記憶力の問題か・・・)


結局さっぱりわからないまま解答編に突入したのですが、
鮮やかに謎を解き明かす江神先輩がカッコイイことこの上ない!

私自身はあまりそういう趣味は無いのですが、キャラ萌えするファンが多いというのも頷けますw


個人的に大変気に入ったのは、
作中で行われる「ミステリー作品名しりとり」と「マーダー・ゲーム」。

作者自身が学生時代「推理小説研」に所属していたというだけあって、
生き生きと描かれるサークルの活動
「やっぱりミステリー研究会ってイイ!」と興奮してしまいました。


前回「鉄道ミステリーか・・・」とちょっとガッカリしながら読み始めながらも
すっかり夢中で読み終えてしまった有栖川氏の「マジックミラー」を取り上げさせて頂きましたが、やっぱり私は「ミス研モノ」「青春モノ」が一番!!なのでした。

「マジックミラー」 有栖川 有栖

本を開いた瞬間、目に入る路線図。
そして後悔。
「しまった!!鉄道ミステリーだ!」

そうです、私は鉄道ミステリーが苦手なのです。

鉄道自体に興味が無いから、どうにも作品に入り込めない。
作中に電車の名前が出てきてもサッパリわからない。
時刻表を見るとクラクラする。

────これは途中で投げ出すかもしれないな・・・

すっかりヤル気を無くして、ページを気だるくめくり始め、気が付けば数時間。
夢中で読み終えてしまいました。

ファーストインプレッションさえも、作者の仕掛けた罠だったのです。



著者: 有栖川 有栖

タイトル: マジックミラー

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双子の兄弟が殺人犯?
しかし兄の妻が余呉湖畔で殺されたとき、兄は博多、弟は酒田にいてアリバイは完璧だった。
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双子に路線図とくれば、ミステリ好きは
「これは双子の入れ替わりアリバイトリックなんだな」
とピンときてしまうであろう幕開けですが、
そこは有栖川さんの文章の巧さ。
しらけるどころか、ぐいぐいと物語に引き込まれます。

前半は正統派の鉄道ミステリーといった印象。
犯人のアリバイを誰がどうやって暴くのか、そしてトリックは・・・?
と、読み進んでいくうちに第二の事件が起こります。

一転するストーリー、これはやっぱりただの鉄道ミステリーじゃなかった!

驚愕のラストに向かって加速する物語。
また、途中で挿入されている「アリバイ講義」は必読です。


有栖川さんの作品の中では比較的評価は芳しくないようですが

いろいろな意味で先入観を逆手に取られた、という点で完敗致しました。

「空飛ぶ馬」 円紫さんと私シリーズ 北村薫

北村薫さんの「円紫さんと私シリーズ」は、
「日常の謎」ミステリーであり、「私」の成長物語です。



著者: 北村 薫
タイトル: 空飛ぶ馬

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女子大生と円紫師匠の名コンビここに始まる。
爽快な論理展開の妙と心暖まる物語。

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シリーズ一作目「空飛ぶ馬」を読んだ時
まず初めに感じたのは、”なんて美しい文章だろう、なんて優しい文章だろう”
ということでした。
(後で納得、北村薫さんは国語の先生でいらっしゃったのでした!)


どこにでもいそうで中々いない、真面目で繊細で純粋な少女「私」の真摯な目線で描かれる
このシリーズは、あたかかく優しい空気に満ち溢れています。

派手な殺人事件などではなく、「私」がふと目を留めた「はてな」と思う謎を
毎回鮮やかに解き明かしてくれるのは、
何でもお見通しの鋭い洞察力と、まるでお父さんのような優しさで
「私」を導いてくれる素敵な素敵な落語家の円紫さん。


しかし、解き明かしてくれるのはあたたかい謎だけではありません。


まるで落とし穴のように日常に潜む、人間の悪意、嫉妬、理不尽で残酷な現実。
そんな真実も円紫さんは決して隠す事無く、逃げる事無く
「私」に告げるのです。

目を背けるのではなく、受け止める。
それでも、人間は捨てたもんじゃない、と信じる。

そんな円紫さんの真摯な生き方を、「私」もまた誠実に受け止めて
一歩一歩しなやかに成長していくさまは
わたしの心を打って止まないのです。




著者: 北村 薫
タイトル: 夜の蝉


著者: 北村 薫
タイトル: 秋の花


著者: 北村 薫
タイトル: 六の宮の姫君


著者: 北村 薫
タイトル: 朝霧